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旅立ちー奄美から東京へ No.2

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船旅

東京までの船賃は学割で一万円もしなかった。

一番安い券なので当然僕の席は団体スペース。仕切りも何もない大部屋に少し固めの四角い小さな枕と船のマークの入った毛布一枚。もしこれが修学旅行なら枕投げでもしたいところだが、周りには僕を知る者は僕だけの一人ぼっちですので、間違ってもそんな不安を打ち消すような楽しい事など起こる筈はない。

ガソリンの匂いなのか船には独特の匂いがする、苦手な人は大変だと思う。横になってもエンジン音と背中に響く振動、なにか背中にツボを刺激する突起物を置いたらマッサージ器に早変わりするかもなんて自分を笑わせる工夫をしながら過ごす。

とにかく、眠りさえすれば「あっ」という間に東京に着く筈だ、二泊三日なんて大したことない。

「さっ、寝よう」

毛布を被ってみても、周りの話し声、テレビの音、スイッチも押してないのに背中マッサージ器、目はギンギンギラギン。

散歩でもしてこようかと客室から出てみる。

船はとても揺れるので少し船酔い気味で食欲もない。
室内から外に出てみると、階段の所で吐く用紙袋を持ってうずくまっている人がいたり気分悪そうな人が目立つ。

「が、しかし!」

こんな中でも平気で仲間と地べたに座って、顔を真っ赤にして酒盛りをしている強者達もいる。
身体の構造がどうなっているのかと思う。

少し海風にでも当たりながら、果てしなく広がる水の惑星地球の海の果てでも眺めようかと、気取ってなんともない顔して手すりに肘をかけて見ると、隣に美しい女性がいて長い髪が地球の風という物と戯れるように泳いでいた。

なんと絵になる風景なんだろうとドキドキしながら視界の端っこに相当集中しながら見ていると、なんとそのお方は突然海に向かって吐き出した。

僕も我慢していたのに、それを見て海に向かって吐いてしまった。

あくびの連鎖というのはよくあるけれど、ゲロの連鎖は初体験だ。
その女性は何度も吐いて、どこかに消えて行った。

僕もトイレに駆け込んだ、その後その女性を見かける事は二度となかった。

そんなこんなで二泊三日の船旅を過ごして、東京に到着。

海のゆらゆらを体験した身体はなんと一週間もゆらゆらの記憶を引きずらせた、周りは誰も揺れてないのに、自分が踏む地面だけが揺れているのです。

お父様、お母様、これまで育てて東京に遅り出してくれてありがとうございます。
ただ、今後このような機会があります時は二度と船旅だけはお許しください!

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